読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

機械親和性人間へー読書感想「超AI時代の生存戦略」(落合陽一)

次の時代へ、考え方や生き方を「アップデート」する方法を学ぶことが、本書「超AI時代の生存戦略 シンギュラリティに備える34のリスト」のテーマになる。著者は「現代の魔法使い」とも称されるメディアアーティストであり研究者、落合陽一さん。自身がプロ…

【本棚から】真夜中に読む5冊

真夜中は読書に格好の時間だ。早く結末を知りたい、とミステリーを一気読み。ひきこまれた恋愛小説を読了するころには、もう3時。秋の夜長。作中の夜に味わいがある、真夜中の空気感にぴったりだ、本棚からそんな5冊を紹介したい。 すべて真夜中の恋人たち…

超高速だまし小説―読書感想「ルビンの壺が割れた」(宿野かほる)

「絶対だまされない」と警戒する読者の上を行く。 そんな「だまし力」を持った小説が宿野かほるさんの「ルビンの壺が割れた」だ。ポップや帯の惹起は「あなたは絶対にだまされる」「結末のあと、もう一度読み直す」。最高レベルの警戒をもってしても、上手を…

まさに今ー読書感想「米朝開戦」(M・グリーニー)

まさに「米朝開戦」の恐れもある今、読みたいと手に取った一冊。 軍事スパイ小説の名手、故トム・クランシー氏のシリーズを後継したマーク・グリーニー氏による小説。「開戦」というタイトルだけれど、今回も水面下で展開するインテリジェンス(諜報)バトル…

【本棚から】学校に行きたくない君へ贈る5冊

学校に行きたくない、つらい。そんな時、読書は助けになる。 新学期が始まる9月1日などは、自ら命を絶つ子どもたちが多いという。いまも、苦しくて、追いやられている子がいるかもしれない。 潤沢ではないけれど、本棚から、そんな人へ贈る本を選んだ。 ①…

会話だけの小説―読書感想「燃焼のための習作」(堀江敏幸)

不思議な読書体験を与えてくれる小説が堀江敏幸さんの「燃焼のための習作」だ。本作には、展開も、伏線も、激動もない。約250ページ、あるのは淡々とした会話だけだ。それのなんと味わい深いこと。本作は話すことそれ自体の楽しみ、深みを教えてくれる。…

足元の宇宙―読書感想「ウォークス 歩くことの精神史」(レベッカ・ソルニット)

「歩く」という一点から、これほど知的な旅が広がるのか。作家レベッカ・ソルニットさんの「ウォークス 歩くことの精神史」はそんな驚きをくれる。歩くことは運動であり、進化であり、宗教であり、女性差別やセックスワークと不可分であり、政治的であり、近…

「逃げ恥」以外ー読書感想「『ファミリーラブストーリー』」(樋口卓治)

人気漫画&ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に感動したものの、「こんなにうまくいくものなの?」と疑問が浮かんだ方に、樋口卓治さんの小説「『ファミリーラブストーリー』」を薦めたい。逃げ恥は、「契約結婚」から始まり、真実の愛を見つけた。本書は真…

日本企業版「失敗の本質」ー読書感想「東芝解体 電機メーカーが消える日」(大西康之)

日本国内の総合電機メーカーの興亡を構造的に解き明かす日本企業版「失敗の本質」が、本書「東芝解体 電機メーカーが消える日」だ。 第二次世界大戦で敗北した日本の組織論をモチーフにしていることは、著者の大西康之さんも「おわりに」で自認している。 元…

どう見えるかの時代ー読書感想「晩夏の墜落」(ノア・ホーリー)

いつから事実よりも「事実らしく見えるか」が大事になってしまったんだ?ー本作「晩夏の墜落」は、「メディア王が乗ったプライベートジェットの墜落と、唯一の生存者」というスリリングなストーリー展開の中に、この骨太のテーマが芯として通っている。だか…

ファシズム前夜にできることー読書感想「暴政」(ティモシー・スナイダー)

ポスト・トゥルースの時代であり、ポピュリズムの足音が聞こえる「いま」を、ナチスドイツや共産主義が大量虐殺と大戦争を生んだ「あの頃」と比べ、教訓を得る一冊が本書「暴政」だ。著者のイエール大教授ティモシー・スナイダー氏は、「ブラッドランド」な…

努力の二重効果ー読書感想「GRIT やり抜く力」(アンジェラ・ダックワース)

成功のために重要なのは努力か才能か、永遠の論争に「努力の二重効果」という視点で挑む好著だ。本書のタイトルである「GRIT」は副題の通り「やり抜く力」、すなわち「努力を継続する力」を指し、著者のアンジェラ・ダックワースさんは、心理学の中でもグリ…