読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

2017年「人生を揺さぶられた」10冊

「この本に人生を揺さぶられたな」。振り返って、そう思える出会いがあることが読書の醍醐味です。2017年に巡り会えた「揺さぶり本」10冊を紹介したいと思います。小説からノンフィクション、恋愛からレジリエンス、カウボーイからAI、沖縄から香港。…

0の力ー読書感想「仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか」(相原孝夫)

モチベーションに関わらずパフォーマンスを出せることが最強である。人事組織コンサルタント相原孝夫さんの「仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか」は、そんな「モチベーション0.0」という革新的なアイデアを授けてくれる。決して煽りじ…

知の波状攻撃ー読書感想「9プリンシプルズ」(伊藤穰一、J・ハウ)

結論から言えば、この本はめちゃめちゃ難しい。たぶん5%も内容を理解していない。ただ、「理解する価値がある」ことだけはかろうじて分かる。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穰一さんが、ワイアード誌の元エディター、ジェフ・ハウ…

未来とは新しい過去ー読書感想「「朝ドラ」一人勝ちの法則」(指南役)

あれ、これ指南役さんの本に書いてあったことじゃない?と、最近よく思い出すのが「『朝ドラ』一人勝ちの法則」だ。テレビ番組「逃走中」、映画「バブルへGO!!」などを手掛けたメディアプランナー。そんな指南役さんが、「最近のNHK朝の連続テレビ小説(朝…

後悔とはちがうものー読書感想「水曜の朝、午前三時」(蓮見圭一)

もしもあの時、あの人の手を離さなかったならー。蓮見圭一さんの小説「水曜の朝、午前三時」は、そんな「有り得たかもしれない人生」がテーマだ。義理の母親が死の病の淵で残した、長大な音声テープ。そこには1970年、大阪万博の裏で散っていった一つの…

加計問題は本当に問題なのかー読書感想「これからの日本、これからの教育」(前川喜平・寺脇研)

「加計学園問題」は何が問題なんだろうか?そもそも、本当に問題なのか?それを考えたくて手に取ったのが、「総理のご意向」文書を告発した元文科省事務次官・前川喜平さんと、同じく元文科官僚で京都造形芸術大教授・寺脇研さんの対談本「これからの日本、…

ど真ん中ナックルボールー読書感想「屍人荘の殺人」(今村昌弘)

最大の難関は、いかにネタバレに触れずに読み始めるか。あとはただ、謎とサスペンスの世界にひたすら没入させてくれるのが、今村昌弘さんの小説「屍人荘の殺人」だ。ミステリーの王道中の王道、密室殺人を扱う。だけど、ネタバレになるから絶対に言えないあ…

デジタルネイチャーの未来地図ー読書感想「魔法の世紀」(落合陽一)

「情熱大陸」出演で話題をさらった「現代の魔法使い」落合陽一さんが、テクノロジーやコンピュータ、メディアの現在・過去・未来を書き尽くしてくれた本が「魔法の世紀」である。リアルとバーチャルの境目がコンピュータによって踏み越えられた世界・デジタ…

戦場の匂いがするー読書感想「レッド・プラトーン」(C・ロメシャ)

アフガニスタンの最前線にある米軍の前哨が、タリバン兵に囲まれた。味方は50人、敵は300人ー。実際にあった絶望的戦闘を、生き残った兵士が振り返るノンフィクションが「レッド・プラトーン 14時間の死闘」だ。目をみはるのは、著者のクリントン・ロ…

余白を見つめてー読書感想「リスクと生きる、死者と生きる」(石戸諭)

「被災者」ではなく「ひと」として向き合う。本書「リスクと生きる、死者と生きる」は東日本大震災という大きなテーマを扱ったノンフィクションながら、徹底した「個」の言葉にこだわる。著者は元毎日新聞記者で、現在はネットメディアBuzzFeed Japanの記者…