読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

ノンフィクション-社会

レジリエンスを学ぶー読書感想「OPTION B」(S・サンドバーグ)

苦しみからもう一度生き直す力「レジリエンス」を、これ一冊で深く深く学べる。「OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び」は、著者でフェイスブックCOOでもあるシェリル・サンドバーグさんが、突然直面した最愛の夫の死にどう向き合ったかを記した苦闘の…

死はなぜつらいのか?ー読書感想「死すべき定め」(A・ガワンデ)

死は、なぜつらいのか?そんな根本的な問いに向き合うきっかけをくれるノンフィクションが「死すべき定め 死にゆく人に何ができるか」だ。著者のアトゥール・ガワンデさんは米ブリンガムアンドウィメンズ病院の医師であり、ライターでもある。死は命の喪失で…

孤独の先の孤独ー読書感想「声をかける」(高石宏輔)

いったいこの胸の孤独は、いつ埋まるんだろう。本書「声をかける」を読み終えて、そんな切なさがこみ上げた。ある男性が、東京でひたすらナンパをしていくという話。著者は高石宏輔さんという方で、帯裏の紹介には、1980年生まれで慶応大学中退、いくつ…

足元の宇宙―読書感想「ウォークス 歩くことの精神史」(レベッカ・ソルニット)

「歩く」という一点から、これほど知的な旅が広がるのか。作家レベッカ・ソルニットさんの「ウォークス 歩くことの精神史」はそんな驚きをくれる。歩くことは運動であり、進化であり、宗教であり、女性差別やセックスワークと不可分であり、政治的であり、近…

日本企業版「失敗の本質」ー読書感想「東芝解体 電機メーカーが消える日」(大西康之)

日本国内の総合電機メーカーの興亡を構造的に解き明かす日本企業版「失敗の本質」が、本書「東芝解体 電機メーカーが消える日」だ。 第二次世界大戦で敗北した日本の組織論をモチーフにしていることは、著者の大西康之さんも「おわりに」で自認している。 元…

努力の二重効果ー読書感想「GRIT やり抜く力」(アンジェラ・ダックワース)

成功のために重要なのは努力か才能か、永遠の論争に「努力の二重効果」という視点で挑む好著だ。本書のタイトルである「GRIT」は副題の通り「やり抜く力」、すなわち「努力を継続する力」を指し、著者のアンジェラ・ダックワースさんは、心理学の中でもグリ…

つかめ「食のスカウター」ー読書感想「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」(Testosterone)

「どれだけいい運動も、悪い食習慣は倒せない」という理念の元「最強の食べ方」を学び、最高に健康になる方法を教授してくれる一冊だ。本書「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」の作者Testosterone(テストステロン)さんは110キロから4…

永遠の山登りを楽しむー読書感想「仕事人生のリセットボタン」(為末大/中原淳)

ランナーでありツイッターなどで発信される言葉もユニークな為末大さんと、「学び」や人材開発の専門知識を洒脱に伝えてくれる研究者・中原淳さんが、「右肩上がりのエスカレーターのないこの時代にどう働き、どう生きるか」を考える一冊。本書「仕事人生の…

たくさん逃げようー読書感想「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由」

著者のイラストレーター・汐待コナさんの漫画にネットで出会い、救われた。働いて働いて辛くて、そんな自分の状況を視覚化してくれて、「世界は、本当は広いんです」と背中を押してくれた。本作「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由」は、話題に…

放射線と戦えるのか?ー読書感想「『心の除染』という虚構 除染先進都市はなぜ除染をやめたのか」

福島第1原発事故後、速やかな除染対策を打ち「除染先進都市」と評価された福島県伊達市を舞台に、「放射線被害とどう向き合うか」を問い掛けるノンフィクション。著者のジャーナリスト黒川祥子さんは伊達市がふるさと。事故後も生活を、子どもを守るお母さん…

ドラえもんと「有用性」―書評「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」

人工知能(AI)が普及した未来では、雇用・労働はなくなる。その未来は、13年後の2030年から、もう始まっていく。本書「人工知能と経済の未来」で、著者井上智洋さんはそんな衝撃的な予想を打ち出していく。そして、そんな社会でどう生きるのか。人…

憎悪の刃は自らに返ってくるー「相模原障害者殺傷事件 優生思想とヘイトクライム」

相模原市の障害者施設が襲撃され、入所者19人の命が奪われた殺傷事件が起きたのは、2016年7月26日のことだ。本書「相模原障害者殺傷事件 優生思想とヘイトクライム」の第1刷発行は翌年1月5日で、半年ほどの極めて早いスピードで、事件の根本にある、安楽死…

痛みはその人のものだ―「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」

傷つくことと、傷つけられることは、どう違うのだろう。それは同じ傷であっても、同じ痛みではない。本書「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」は、誰かから暴力を受けるということが一体何を意味するのか、「暴力を受けた側」の言葉で、それも当人たちの…

羅針盤をインストールせよ―「AI時代の人生戦略 『STEAM』が最強の武器である」

AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書) 作者: 成毛眞 出版社/メーカー: SBクリエイティブ 発売日: 2017/01/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る STEM、あるいはSTEAM、OK Goのすごさ、クオンツ、セ…

資本主義の「次」―「限界費用ゼロ社会」

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭 作者: ジェレミー・リフキン,柴田裕之 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2015/10/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 資本主義に未来はあるのか。取って代わる次の経済シス…

そんな自分も悪くないかも―「非モテの品格 男にとって『弱さ』とは何か」

(2017/10/09更新) 非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か (集英社新書) 作者: 杉田俊介 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/12/16 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 表紙の帯に漫画が書いてあると、それだけで「ライトな内容な…

トリックスターがいたころ―「バブル1980-1989 日本迷走の原点」

バブル:日本迷走の原点 作者: 永野健二 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/11/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 自分は「バブル」後に生まれた世代であることはなんとなく認識していても、バブルとは一体いつから始まって、なぜ終…

そのとき、彼は何を語ったか―「総理」

総理 作者: 山口敬之 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2016/06/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 16年近く国会や内閣の動きを追ってきた元TBS政治記者によるルポタージュ。テーマはずばり、「総理とは何なのか」。そして総理た…