「PIXER(ピクサー)」を、財務面で支えた最高に格好いい裏方がいる。その本人ローレンス・レビーさんが苦闘に明け暮れた日々を振り返ったのが本書「PIXER 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」だ。CGアニメがまだ世になく、収益性は…
大国は自壊する。崩壊は内側から始まる。外部の侵略や打倒は衰退の原因ではなく徴候である。「なぜ大国は衰退するのか 古代ローマから現代まで」は、ローマ帝国、明(中国)、オスマン帝国、イギリス、カリフォリニア州など、豊富な事例でこの事実を明らかに…
「ひきこもれ」を読んで、なぜツイッターでつぶやき続けても満たされないことがあるのか分かった気がする。どうして人に対して徹底的に攻撃的な人がいるのかも分かった気がする。思想家・吉本隆明さんが語るところを、梯久美子さんの構成で文章化した本で、…
50歳に差し掛かる男女、しかも色々と訳を抱えて故郷に出戻った男女の思い合いを、「平場の月」は描く。読み終えて、そうだ、自分が読みたかったのはこんな恋愛小説だったんだと思った。輝かしい未来よりも抱えた過去の方が多い二人。客観視や成長志向とは程…
「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」は、イギリスの記者ジェームズ・ブラッドワースさんが国内の最低賃金の労働現場に潜入し、その内幕を告発した一冊になる。明らかにされるのは、中間的な所得を保証し、人間的な営みのある「尊厳ある仕事…
アエラドットの人生相談コーナーの回答を見ていつも唸らされていたのが、作家で演出家の鴻上尚史さんだった。その鴻上さんが「どうして周りの目が気になるの」「人間関係が息苦しいの」という思春期の子どもたちの不安に答える形でまとめた本が「『空気』を…
「決断」は会社を辞めるにしても辞めないにしても大事なことを教えてくれる。それは「判断軸」。「キャリアの時間軸を自らハンドリングすること」「仕事以外の『場』を持つこと」「ダメなスキルを溜めないこと」といったキーワードを学び、判断軸を養える本…
「幸せとお金の経済学」は、幸せになるための消費の秘訣を教えてくれる。ワンセンテンスで言うと「地位財より非地位財へお金を使おう」。地位財とは「他人との比較で価値が生まれるもの」。非地位財は「他人が持っているかに関係なく、それ自体に価値があり…
女性だけが特殊な腕輪を装着させられ、1日100語以上を喋ると強烈な電流を浴びせられる。女性の声を奪ったディストピア社会を描くのが、クリスティーナ・ダルチャーさんのSF小説「声の物語」だ。 一部の女性が出産のための道具として使われるというSF小説「侍…
経済学者・井上智洋さんの「純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落」は、「サピエンス全史」並みの話題書になるはずだ。そのぐらいのインパクトがある。本書は、AIによる時代変化を、テクノロジー論、経済論、未来予測だけでなく「人類史」のスコープで超…